農業系

【新規就農本】絶対にギブアップしたくない人のための成功する農業を要約

こんにちはー!

今回は岩佐大輝さんの「絶対にギブアップしたくない人のための成功する農業」を解説していきます。

絶対にギブアップしたくない人のための成功する農業の本の画像

まず本書をひとことで言うと、これから農業を始める人に対してありがたいマニュアルです。

本書は農業についてのよくある疑問と不安を16個に分けて解説してくれています。

本書のここが重要だと思うとこを自分なりに3つのポイントで解説していきます。

①儲かる農業

②中小農家の成功する6次産業化

③農業を始めるための6つのステップ

本書はこんな人にオススメです。

1ページ目の1行目を引用させてもらいますと、

「この本は、ツテもなく、農業に関する知識もそんなにない人に向けた新規就農本です。」

絶対にギブアップしたくない人のための成功する農業

と書かれています。

本書を読めば農業を始める流れや、新規就農者の具体例を知ることができ、新規就農をするのに役に立ちます。

儲かる農業

まずポイント①の儲かる農業です。

農業って儲かるのだろうかと、これは就農を目指している方は誰もが気にすることだと思います。

まず結論から言いますと、人による、が結論になってしまいます。

なぜなら、作る品目や規模や販売方法などによって変わってくるからです。

しかし、農家の見せかけの所得の低さに騙されるなと著者の岩佐大輝さんは言っています。

農水省が公開しているデータを元に「個人の農家は普通は年間180万くらいしか農業では稼げない」という人がいます。

兼業でやって、なんとか食えているのだと。

ですが、著者の岩佐大輝さんの知り合いで、ほとんど毎日焼肉屋に行っているような農家がいると言っています。

所得が低いはずなのに、おかしいですよね?

その理由は、先輩農家が後輩農家におごっているのを、経費として落としていたりするのです。

人間の心理として税金はたくさん払いたくありません。

それで飲み食いに使ったお金を経費として申告したり、いい車を買って会社の所有物にしたりして、わざと所得を落としているのです。

個人事業では売上から事業に必要な経費を引いたものが所得です。農業所得も同じです。

農業経営によって得られた総収益額(農業粗収益)から農業経営にかかったすべての経費(農業経営費)を引いたものが農業所得です。

個人事業主や中小企業では税金を払いたくないので決算のときに費用をたくさん申告し、所得を少なく見せようとする傾向があります。

つまり、農家の収入は低いという話は見せかけ上、低くしたい人が多いという事情を理解した上で聞く必要があるということです。

次に、どの作物が儲かるのでしょうか?

農産物は基本、労働工数が多い作物は、市場でそれなりの値段になります。

逆にたとえば、もやしのように比較的簡単に大量に作れるものは単価が安くなります。

作業時間あたりの売上単価は、実はどの農作物を選んでもそこまで劇的に変わりません。

なので、基本的にはその人が作りたい作物を作れば良いのです。

それと、規模の経済が効くものかどうかを見極めることが重要です。

規模の経済とは、大量に作ると投資の効率が良くなるものです。

コストにはイニシャルコスト(初期投資)とランニングコスト(維持費)があります。

最初にかかる費用と定常的にかかる費用のことです。

さらにランニングコストは、変動費と固定費に分かれます。

事業の規模が大きくても、小さくても初期投資と固定費は必ずかかります。

必ず掛かるということは、規模の経済が効く事業では、事業規模が大きいほうが投資の効率がよくなります。イコール儲かると言うことです。

どういうことかといいますと、たとえば1ヘクタールの畑を作る場合でも、100ヘクタールの畑を作る場合でも同じようにトラクターが1台必要であり、かつ、1台で十分だったとしましょう。

トラクターが、仮に維持費が毎月1万円掛かるとします。

畑からは1ヘクタールあたり100の作物が取れるとしたら、100ヘクタールでは10000取れます。

作物1個あたりにかかるコストは100しか作れない農家より10000作れる農家の方が1個あたりのコストは少なくてすみます。

これが大量に作ったほうが規模の経済が効くということです。

規模の経済がきかない例としていちごがあります。

いちごはまだ機械での摘み取りが出来ません。

たくさん栽培してたくさん収穫するには、それだけ人件費がかかります。

こういう、いわゆる労働集約型のビジネスは、大手の大資本であってもさほどメリットがありません。

正確に言いますと、規模の経済には「製造原価が薄まるもの」と「販管費が薄まるもの」とがあります。

先程のトラクターの例は製造原価が薄まる例です。

実は製造原価の段階では規模の経済が聞かない作物であっても、一般的には販管費は薄まります。

広告費などは、規模が倍になったから費用が倍になることはありません。

規模の経済がきくものは大企業が参入している、またはしてくる可能性が高いということです。

最後に観光農園は儲かるのかどうかを要約します。

観光農園は立地や作物によって儲かるかどうかが決まります。

ですが、直接お客様とふれあいたい、たくさん来て喜んでもらいたいと思う方は向いています。

安定して作れるようになったな、という見込みがたってからでも観光農園をやるかやらないかをきめるのは遅くないと著者の岩佐大輝さんは言っています。

毎年ばらつきがそれほどなく作れるようなフェーズになれば、たとえば年間の収穫量が20トンだとしたら10トンは契約栽培10トンは観光農園といった分け方も出来ます。

中小農家の成功する6次産業化

次にポイント②中小農家の成功する6次産業化です。

6次産業化とは知恵蔵の定義では、「第一次産業である農林水産業が、農林水産物の生産だけにとどまらず、それを原材料とした加工食品の製造・販売や観光農園のような地位域資源を生かしたサービスなど、第2次産業や第3次産業まで踏み込むこと」です。

最初にこのポイントの結論から言うと、「大手ができないことをする」という事です。

そのへんの農家がオリジナルブランドのジャムを作ったとしても、それを流通させ、売るための広告宣伝費や営業スタッフの人件費といったコスト(固定費)を、大手食品メーカーと同じぐらい投じられるかといえば、極めて難しいと著者の岩佐大輝さんは言っています。

中小農家がどうやって大企業に対して優位性を作るのかを考えてから、6次産業化を進めるべきです。

やり方として大きくわけて3つ書かれています。

  • 大手がコスト面で調達できないもの
  • 大手がそもそも入手できない原材料
  • 地域密着型

まず最初に、大手がコスト面で調達できないものです。

農家のほうが原材料の調達コストが安いことがあります。

いちごのように摘み取りに手間のかかる労働集約型(変動費型)の品目の場合がそうです。

変動費型の場合は、大手だからといって投資効率が良くなるわけでもなく、中小農家より安く作れるわけでもないのです。

安く作れるわけでもないどころか、大手だと人件費をそれなりの金額を払わないと生産することができません。

対して農家は、自分たちの労務費を無視してしまえば、大手よりも安く作れます。

いちご100パーセントのジュースを作ったとすると、農家は製造原価に対する原材料費で、大手より安く作れます。

しかし、いちご1パーセントのジュースの場合は、残り99パーセント分の原材料の調達コストは大手のほうが圧倒的に安いので、大手が安く作れます。

次に、大手がそもそも入手できない原材料です。

何かの理由で自分たちだけが調達できる作物、特殊な製法で特許を取っているなど、消費者のニーズがあるところで明確な差別化ができるなら、強い企画・強いブランドが成立します。

最後の地域密着型です。

大手が入ってこれない、自分たちの場所で販売すればいいのです。

たとえば、観光農園をやって、そこに来てもらい来た人だけに商品を売る、といったものです。

とにかく自分たちのライバルを少なくし、自分たちのテリトリーでビジネスをすることが大事になってきます。

キッコーマンはデルモンテというケチャップなどのブランドオーナーで、そのキッコーマンがトマトの大規模農場に取り組んでいます。

キッコーマンが持っている販売網は日本有数のものだから、トマトを作って6次化するというのは成功します。

農業を始めるための6つのステップ

最後にポイント③の農業を始めるための6つのステップ。

この6つのステップでとくに重要なのは最初の3つです。

最初の3つがおおよそ定まればその後考えるべきことは、自ずと決まってきます。

これは、いわゆるミッションです。

就農者は「そもそもなぜ農業をやりたいのか」を、はっきりと言語化しておく必要があります。

しんどいことがあったときに「なんで農業やってるんだっけ?」と立ち返ってこられるものを言葉として持っておくと踏ん張れるようになりますし軸がぶれずにいられます。

春夏秋は野菜を作って売りにだして冬は海外に行く農家もいると著者の岩佐大輝さんは言っています。

農業をやる目的と生活スタイルで決めるのもいいでしょうし、好きなものを作るのでもいいと思います。

食べ物の消費行動は、社会の移り変わり、生活の変化、景気・経済の変化に影響を受けます。

ここ10年〜のトレンドを把握することが重要です。

なぜ10年かと言うと農業は設備投資した資金の投資回収までに10年前後かかります。

農業はトラクターにしてもビニールハウスにしても減価償却の期間が最低5年、10年あります。

本書では10年間のビジネスプランの作成手順が書かれています。

手順① 売上

売上から試算します。(売上=出荷量×市場平均価格)

手順② イニシャルコスト

必要な初期費用を算出します。

手順③ ランニングコスト

維持費用・継続費用を試算します。

資金調達をする方法は、家族や友人・知人に借金すると言ったものを除けば、補助金、銀行からの借り入れ、株式発行によるファイナンスの3つが主なものです。

農業をするにあたっては、さまざまな情報を集めたり、農業をやっていくためのネットワークが必要になります。

ネット上にある農業関係のメディアには常に目を配り、新しい技術やトレンドをするべきと書かれています。

そして何よりナマの情報を持っている農家とふれあう機会を作ることが大切です。

この記事のまとめ

この記事のまとめとして、

ポイント①では、作物をどう作るか、どう売るかで儲かり方が変わるということ。

ポイント②では、「変動費型の品目×自分たちしか作れない品目×地域限定」の考え方が大切ということ。

ポイント③では、農業を始めるための6つのステップを紹介しました。

ということで、岩佐大輝さんの「絶対にギブアップしたくない人のための成功する農業」を要約していきました。

この記事では本書のほんの一部しかお伝えできていませんのでもっと詳しく知りたいなと思った方はぜひ本書を手にとって読んでみてください。

最後まで見ていただきありがとうございました。