こんにちはー、しゅんじです!
今回は中村敏樹さんの「多品目少量栽培で成功できる‼︎小さな農業の稼ぎ方」の本を要約していきます。
著者の中村敏樹さんの有限会社コスモファームは香川県で、最も面積が狭く、広い敷地で農業を展開するのは難しい土地柄です。
実際コスモファームも8〜9aの圃場が9ヶ所に点在するという、条件の良くない環境で作業をしています。
小さい農業で単品大量生産をしたとしても、それに見合うだけの収入が得られないとわかっていたから、「多品目少量栽培」を選択したと著者は言っています。
多品目少量栽培なら、たとえば農業を始めたその日に「ラディッシュ」を播けば、17日後には出荷することができます。
これこそが多品目少量栽培の底力なのです。
ということで、本書のここは重要と思うとこを自分なりに3つのポイントで要約していきます。
- 多品目栽培のメリット
- 多品目栽培の基本
- 多品目栽培の加工
本書は、多品目栽培をしたい方や、野菜づくりをしている方にオススメの一冊です。
そして、実際にコスモファームで栽培をしている品種や、アイデアレシピ集などを親切に教えてくれています。
多品目栽培のメリット
まず、多品目少量栽培のメリットです。
多品目少量栽培のメリットは、
- 新しい品目、品種に挑戦できる
- 小規模農家でも可能
- 価格を自由に決められる
- 競争が少ない
です。
コスモファームでは、年間15品目250品種程度の野菜を栽培していると本書では書かれています。
ダイコン、ナス、レタスなどすべての品目で5〜20品種を扱っているのですが、青首ダイコンや千両ナスなど市場に出回るものは作っていません。
理由は差別化が出来ないからです。
その代わりに他にない珍しい野菜などを栽培しています。
多品目少量栽培は「差別化」と「販路の確保」のこの2点が最重要です。
栽培については野菜の勉強をすれば大きな失敗はありません。
単品大量なら総崩れのところも、多品目なら2〜3品種ダメだったとしても大きな損失にはならないところはリスク分散できているのでメリットです。
本書では、多品目少量栽培を成功させる4つのルールが書かれています。
ルール1「旬のものを作ること」です。
旬の野菜や果物は、美味しく、育てやすく、栄養価が高いです。
市場流通では、高値をとるための1つの方法として、農産物の端境期を狙う方法があります。
2017年のハウスミカンの初取引ではご祝儀相場として1ケース250万円の高値が話題になりました。
しかし、立派なハウスや暖房などの設備投資を考えれば、多少高く売れるからといって農家に大きなメリットはありません。
それでも通常の農業では、それが当たり前。消費者のことを考えるのではなく、市場流通をいかにスムーズにし高値をとるかが課題になっています。
多品目少量栽培なら、旬の美味しく、育てやすく、栄養価が高い野菜や果物を順次追っていけば良いわけです。
ルール2「作付けのバランス」です。
たとえば、最初の年に作ったズッキーニがたまたま時代の波に乗り、予想外の大人気。
こうなったときに、翌年は全体の3分の1をズッキーニの栽培にあてよう、と考えがちですが、それでは多品目栽培とは言えません。
その翌年もあたるとは限らない。失敗のリスクを小さく抑えて、多品目少量のメリットを十分に活用することが大切です。
ルール3「加工を最優先にしない」ことです。
6次産業化の基本は「生産(1次産業)」×「加工(2次産業)」×「流通・販売(3次産業)」です。
多品目少量栽培だからこそ出てくる、捨てるのにはもったいない少量の野菜を加工品にするのがベストになります。
ルール4「自分が作る野菜について勉強すること」です。
栽培方法だけ学ぶのではなく、どんな料理法があるのか、保存の方法は?、といったアドバイスがきちんとできる必要があります。
多品目栽培の基本
次に、多品目栽培の基本についてです。
本書では多品目栽培の基本をたくさん書かれてありますが、その中でも厳選し、4つに絞って要約していきます。
1つめは「圃場の条件を確認する」です。
与えられた圃場の条件で、できる限りのことをする、農業においてはすべてここからスタートです。
たとえば、50aの圃場でも間引きした小さいサイズからとう立ちした花まで収穫すれば50a以上の経営ができます。
生育の早い野菜を組み込めば、年数回作付けすることもできます。
その中で、廃棄野菜を出さない、旬のものを栽培するといった多品目少量栽培の鉄則を守り、販路をしっかりと確保することが大事です。
今時分が持っている手札を大切にし、その手札を最大限に活用するにはどうしたら良いのかを考えましょう。
2つめは「良い土壌とは」です。
良い土壌は、
・団粒化していること
・微生物が生息している
・pH6.0~6.5
土壌は野菜を作るのに重要です。
良い土壌については「図解でよくわかる土・肥料のきほんを要約」というブログを上げているので、こちらに詳しく書きました。
興味のある方は、ぜひ見てください。
3つめは「長く収穫できる品種を選ぶ」です。
きゃべつなどのアブラナ科の植物は、とう立ちし、種子をつけます。
野菜をとう立ちさせると、葉が固くなり食感が悪くなるので、やってはいけないというのが一般常識です。
しかし菜花には菜花の食感や味わいがあって、サラダなどに加えれば見た目にも楽しめます。
たとえば黒キャベツの菜花は味が濃いと著者は言っています。
あえてとう立ちさせることで収穫時期をずらし、成長の早い葉物でも長い期間収穫することができます。
ほかにはナスなど、長く収穫できる品種を選ぶということは最重要です。
4つめは「たくさんの品種を栽培する」です。
著者のコスモファームが扱っている野菜は、ナス10品種、ダイコン10品種、キャベツ18品種、ジャガイモ30品種など、かなりの数です。
野菜のカテゴリーは、イタリア野菜、日本の伝統野菜などで、栄養価が高くカラフルな野菜が多くあります。
ナスは、白ナスや緑のナスなど、ジャガイモは、皮だけではなく果肉にも色のついた品種などを扱っています。
マルシェでは、色のついたジャガイモのポテトフライにして試食してもらうと反応は抜群だそうです。
試食を出し、実際に野菜の味を知ってもらうことで、販路がひらけていくケースが多いと本書では書かれています。
お客さんがどうしたら喜んでくれるか、人が集まるか、イメージを膨らませることが大切です。
多品目栽培の加工
最後に、多品目栽培の加工についてです。
多品目栽培の加工といっても、まずは加工所が必要です。
お金をかけずに加工所を手に入れる方法を本書では書いてあります。
- 既存のものを利用する方法
- 加工所を借りる方法
既存のものを利用する方法というのは、自宅のキッチンなどです。
ただし、加工をするには「食品営業許可」の取得が必須になります。
加工所の検査があり、設備の改善に費用がかかる場合もあるので注意が必要です。
加工所を借りる方法ですが、ほとんどの自治体には、地元の人が利用できる共同の加工所があります。
自治体によってはこのような利用を積極的に勧めているケースもあるので、保健所に問い合わせてみるというのも一つの手です。
加工所ができたら次は、食品の製造・販売に必要な手続きです。
先程も少し触れたように、農産物の加工食品を製造・販売するためには、食品衛生法や地域の条例に基づいて、保健所に営業許可や届け出を行わなければなりません。
流れとしては、
- 保健所へ事前相談
- 申請書類の提出
- 施設設備の確認検査
- 許可証の交付
- 営業開始
です。
手続きができたら、安心安全のためにするべきことを本書では書かれています。
加工品の品質に万全を期すのは当たり前のことですが、それでものときには食中毒や容器の破損など、予期せぬトラブルが起きることもあります。
このような事故に備えて、専門の保険にぜひ加入しておきましょう。
賠償責任の負担をカバーするのが、PL保険です。
保険の加入は法律で定められているわけではないのですが、生協や直売所、デパート、量販店などと契約をする際には保険証券の提出を求められるケースも多いのです。
PL保険は被害者に対しての賠償に限ります。
回収した商品や、回収にかかった費用などは自己負担です。
加工品の販売に関して、もう1点クリアしなければいけないのが「食品表示」です。
商品の名称や内容、賞味期限等がしるされた表示です。
「食品衛生法」「JAS法」「健康増進法」の食品表示に関する基準を一元化した「食品表示基準」により、これに基づく適切な表示が義務化されました。
今回は、中村敏樹さんの「多品目少量栽培で成功できる‼︎小さな農業の稼ぎ方」の本を要約していきました。
この記事では本書のほんの一部しかお伝えできていませんのでもっと詳しく知りたいなと思った方はぜひ本書を手にとって読んでみてください。
最後まで見ていただきありがとうございました。